雪室のある暮らし

「雪国を楽しむことができる」というテーマに対して、開閉屋根を備えた中庭状の「雪室」を備えた建築の提案である。雪から身を守りつつ雪の持つ美しさを満喫することのできる建築計画とした。春先にかけて雪室に保存した雪を利用することによる、雪国でしか実現のできない形での自然エネルギー利用を模索する。


「雪屋根」と名付けた特徴的な片流れ屋根に、敷地に応じた開口部の位置・形状・寸法をあたることで変化に富んだプロトタイプを設計した。本建築を単独で計画する場合でも、複数棟を集合化して計画する場合でも成立する高い汎用性を備えるコンセプトとなる。屋根部材にCLTやLVL等の新しい木質素材を利用することで、高強度の屋根面を構成し、積雪荷重に対応する。雪屋根に光が反射することで、日中に明るい間接光を取り込むことを可能とする。駐車場・駐輪場、設備スペース等を含めて屋根に覆われた空間を作り、冬季も安心安全かつ快適に過ごすことのできる計画とした。「雪室」や「夏の道」は、夏には中庭やアプローチとして、冬季は雪溜まりとして機能する。